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■第三者の関わる生殖技術って??
 「第三者の関わる生殖技術」には、AID、非配偶者間体外受精(精子・卵子・胚提供)、代理出産があります(下の図をクリックすれば拡大します)。第三者の関わる生殖技術には、人工授精と体外受精という技術が必要になります。

 人工授精は、体外に取り出した精子を、器具を使い女性の子宮内に注入します。これについては、夫婦間で行うAIHだけでなく、第三者からの提供精子を用いるAID(非配偶者間人工授精)も可能です。

 体外受精は、体外に取り出した卵子と精子を受精させ、胚(受精卵)を女性の子宮内に移植するものです。これも、夫婦間で行うだけでなく、第三者の精子・卵子・胚を使うことが可能です(非配偶者間体外受精)

 代理出産は、人工授精型体外受精型に分けられます。人工授精型代理出産は、体外に取り出した精子を第三者の女性の子宮内に注入します。体外受精型代理出産では、夫婦の胚を第三者の女性の子宮内に移植します(さらに、第三者の精子や卵子の利用も可能です)。
 
 また、それぞれの技術において、シングル、同姓カップルの利用も可能です。
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■呼び掛け文
 匿名の第三者の精子を用いた人工授精(AID)は60年以上も昔から行われているにも関わらず、その実態は明らかではありません。それは医師、依頼者夫婦、そして精子提供者も、そのことについては一切語らず、関わった事実すらなかったこととして進められてきたからです。

 長い間AIDには大きな問題は起きていない、と言われてきました。しかしこの技術に関わった当事者への追跡調査は、プライバシーを守るという理由でほとんど行われていません。にもかかわらず、子どもには事実を隠し通す方がよい、子どもは何も知らない方が幸せであると言われ、技術は行われ続けてきました。

 しかし現実には、この技術で生まれた人たちは、さまざまな問題に苦しんでいます。家庭のなかに大きな秘密をもつことにより生じる家庭内の違和感や緊張感を感じています。そして大人になってから長年隠されてきた事実を知ることで、親への信頼感情は壊れてしまいます。それは今まで積み重ねてきた自分というものが覆されることであり、アイデンティティの崩壊にもつながります。また自分の遺伝的ルーツが半分わからないということは、自分の体質や遺伝病の可能性にも自信がもてず、医学的な処置を受ける際にも大きな不安を抱くこととなります。そして近親婚の可能性や、AIDについて相談できる人や機関がないことなども問題として挙げられています。これらの問題は、近年この技術で生まれた人が成長し、自分達の言葉でその想いを語ることができるようになったことで、やっと明らかになってきました。しかし問題を抱えているのは子どもばかりではありません。子どもが生まれた後にどんな問題が生じるのかについて、AID実施前にはほとんど想像もしていなかった親や提供者達のなかにも悩んでいる人は少なくありません。

 AIDは本当に不妊に悩む夫婦にとって福音となっているのでしょうか。現在日本では精子だけでなく、卵子・胚の提供、そして代理出産と、第三者の関わる生殖技術をどんどん広げる方向で進んでいます。報道も一般的に不妊に悩む人々の辛さに焦点が当てられ、第三者を介在させて生殖技術技術を利用することの是非やその後に生じるかもしれない問題を問うことなく、赤ちゃんを抱くことができて幸せだという物語仕立てに終始しがちです。そうした報道は、安易に第三者の関わる生殖技術を肯定する風潮に繋がっていないでしょうか。

 私たちはAIDについて、現在明らかになっているさまざまな問題が置き去りにされたまま行われ続けていることに疑問をもっています。この技術の当事者は依頼者と提供者だけではありません。親や提供者の利益が優先され、生まれてくる子どもへの視点がまったく欠けている今の状況では、この技術は行われるべきではないと考えます。

 現在日本では生殖技術の法制化に向けた議論が進められています。しかしその議論の内容は、技術実施のための条件整備でしかなく、技術そのものの是非を問うものではありません。私たちの社会は本当にこれらの技術を必要としているのでしょうか、技術を認め、受け入れていく準備ができているのでしょうか。生殖技術は子どもさえ生まれれば終わりなのではありません。これまでまったく目を向けられてこなかった、子どもが生まれた後の問題についても知ったうえで、改めてこの技術の是非について考えてほしいと思います。


■会の目的
○第三者の関わる生殖技術について、さまざまな立場からその現状と問題を明らかにする
○社会に対し問題提起を行い、第三者の関わる生殖技術について社会的議論が起こることを求める
○これまで行ってきた技術の振り返り、そして社会的な議論なしに、現状のままこれら技術が進み続けることには反対する
○第三者の関わる生殖技術の是非を、今一度問い直す

問合せ先:donorconception@hotmail.co.jp



・第三者の関わる生殖技術で生まれた方へ
当会は非配偶者間人工授精(AID)で生まれた人の自助グループ内有志を中心に発足した団体です。第三者の関わる生殖技術で生まれた当事者の立場から、この技術が抱える問題を考えています。 サポートグループではありませんが、精子や卵子の提供で生まれた方々の出会いを つなぎ、お力になる〈窓口〉にはなれるかもしれません。また、第三者の関わる生殖技術の情報を多少はお伝えできるかと存じます。どうぞ遠慮なくご連絡ください。ご連絡の秘密は守ります。
連絡先:daisannshano@excite.co.jp
*非配偶者間人工授精(AID)で生れた人の自助グループ(Donor Offspring Group ;DOG) AIDで生れた人の当事者グループです。同じ立場の人と境遇を分かち合うことでお気持ちが少し楽になるかもしれません。自助グループのHPは
http://blog.canpan.info/dog/
をご覧下さい。


・メディアの皆様へ(取材について)
取材をご希望の際は、企画書・趣旨等をお送りください。内容を検討し、お返事致します。
当会の活動や当会メンバーの意見を、というお申し込みには可能な限り対応させて いただきますが、 「第三者の関わる生殖技術で生まれた人を紹介してほしい」など はお断り致します。


■関連リンク
・代理出産を問い直す会(代理出産という方法に疑問を持つ研究者や専門家が、その問題点を明確にすることを目的とする会のページ)
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~yyanagi/

・生殖技術について今、考えてほしいこと(AIDで生まれた人の自助グループのページ)
http://blog.canpan.info/dog/


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# by daisannshano | 2012-10-17 16:57 | トップ